中期経営計画“The TOP 2021”

新中期経営計画“The TOP 2021”の内容について-中期経営戦略説明会骨子-

2018年12月11日発表

当社は、2019年から開始する3か年の新中期経営計画“The TOP 2021”を策定しました。

2016年からスタートした中期経営計画“Project 2020+”は、当社が有する多様な事業群の収益基盤強靱化と、収益性と安定性を高いレベルで持続的に維持する個性派事業の拡大を目指す計画でした。世界または一定規模の競争市場でシェアトップの事業を多く持つことにより、市況変動への抵抗力強化を進め、企業価値を向上させるべく、経営諸施策に取り組んできました。

その結果、3年累計での計数目標を大幅に達成し、今後の成長に資するキャッシュを創出することができました。石油化学、化学品、無機の3セグメントで目標を超過達成、エレクトロニクス、アルミニウムの2セグメントも収益性が改善する見込みです。

2019年から新たにスタートさせる中期経営計画“The TOP 2021”では、長期的な事業の成長に大きく舵を切り、当社グループの将来に向けた成長の基盤を確立させます。

1.企業理念体系

(1)基本的な考え

当社グループが持続的に発展し、社会から信頼・評価されるためには、株主様をはじめ、お客様、取引先、地域関係者、社員など、全てのステークホルダーの皆様にご満足いただけるよう、建設的な対話を進めながら企業価値の向上を図ることが重要です。当社はこれを「グループ経営理念」として明確にした上、株主価値・顧客価値・社会価値の最大化に向けた経営を今後とも推進していきます。

昭和電工グループ経営理念

私たちは、社会的に有用かつ安全でお客様の期待に応える製品・サービスの提供により企業価値を高め、株主にご満足いただくと共に、国際社会の一員としての責任を果たし、その健全な発展に貢献します。

(2)Mission(使命・存在意義)/Vision(目指す姿)/Value(Vision実現の手段)

グループ経営理念を実現するため、当社グループとしてのMission/Vision/Valueを次のとおり定めました。

  • Mission(使命・存在意義) すべてのステークホルダーを満足させる
  • Vision(目指す姿) 個性派企業
  • Value(Vision実現の手段) “CUSTOMER Experienceの最大化”

デジタル化社会の進展、自動車の軽量化・複合素材の普及、生活の質(Quality of Life:QOL)の向上、特殊半導体の拡大、モノ売りに留まらないソリューション提案(XaaS)やモノ消費からコト消費への変化など、当社グループのお客様が対面する市場や社会構造は大きく変化しています。これら外部環境の変化を自ら先読みしていくことが今後の成長には必要不可欠なことから、顧客体験(CUSTOMER Experience)を当社グループ成長のための共通概念として取り入れます。情報電子、産業機器、移動・輸送、ライフサイエンス&ヘルスケア、ライフスタイル(生活環境)、建設・インフラ、エネルギーの7つの事業領域において、事業の成長を実現していきます。

当社グループは、世界に驚きや感動を届けるために、これまで以上にお客様の声を聴き、技術を磨くことで、「こころ」を動かす製品やサービスを、そして「社会」を動かすソリューションを提供していきます。

コーポレート・メッセージ:「動かす」

こころを、社会を、動かす。 世の中にもっと驚きや感動を届けるために、新たな当社グループの物語をスタートさせるためのシンボルとして、カチンコをモチーフとしています。
会社は社員にとって舞台であり、社員一人ひとりが演者となり「こころ」「社会」を積極的に動かしていくという強い意志も表現しています。

2.新中期経営計画 ~基本コンセプトと基本戦略~

(1) 基本コンセプト

当社のVisionである「個性派企業」 とは、収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体を意味します。2025年には当社事業の半数以上を個性派事業とすることを目指します。そのため、The TOP 2021では、長期的な事業の成長に大きく舵を切り、当社グループの将来に向けた成長の基盤を確立させます。

また、当社のMissionである「すべてのステークホルダーを満足させる」ためには株主価値・顧客価値・社会価値を最大化する必要があります。そのためには、当社グループで働く社員一人ひとりの力が必要不可欠です。将来に期待の持てる当社グループとすべく、社員が活躍する環境を整備し、誇りと夢のある舞台を提供していきます。

当社グループが目指す姿と基本戦略

(2)基本戦略

①現行事業の飛躍(高める/伸ばす/変わる)

当社グループの各事業が競争すべき領域と事業に求める成果から、事業の目指す方向性を再定義しました。

高める
継続的に利益率を改善する事業と位置づけ、成熟する市場においてビジネスモデルを進化させ、提供価値を向上させます。
石油化学、産業ガス、基礎化学品の各事業において、特定地域・領域でのNo. 1を目指します。
HD、黒鉛電極の両事業については、技術・品質面での優位性を元に国内外のお客様との関係をより深め、グローバルでのNo.1を目指します。
伸ばす
高い成長率と利益率を両立する事業と位置づけ、成長市場において海外を含めた事業成長を加速させます。
情報電子化学品事業においてはシェア、成長率、収益のグローバルNo.1を、先端電池材料、電子機能材、パワー半導体SiCの各事業では対象市場でのトップクラスのプレゼンス(高成長・高収益基盤確立)を目指します。
変わる
利益率を維持しながら売上高を成長させる事業と位置づけ、川下への拡大も視野に、ビジネスモデルを変革します。
アルミ缶、アルミ圧延品の両事業では海外における事業拡大を、アルミ機能部材、機能性化学品、セラミックスの各事業ではソリューション型ビジネスへシフトし高付加価値化を進めます。

②新規事業の創出(創る)

企業の持続的な成長のためには新規事業の創出が必須なことから、当社グループの研究開発による有機的な成長に加え、M&A等の戦略的な非連続施策を実施します。非連続施策に関しては3年累計で1,500億円の投資枠を設け、M&Aや事業提携等を積極的に進めます。

③事業間連携

当社グループは、無機化学・有機化学・アルミといった幅広い事業・素材に関する技術と、プロセス設計・解析等の要素技術を有しています。これら既存事業と技術の組み合わせにより、成長市場における新たな付加価値、ソリューションの提供を目指します。

その一環として、2019年1月から自動車複合材料に関するプロジェクト組織を立ち上げます。同プロジェクトでは自動車産業の将来変化を見据え、軽量・高剛性、放熱・蓄熱、電気絶縁性、異素材接着など、素材に対するニーズの変化を生かしたソリューションを提供していきます。

④戦略の基盤強化

当社グループがグローバルに事業を展開し、持続的な発展を目指すためには、企業の社会的責任を果たすとともに、持続可能な開発目標(SDGs)に掲げられる社会課題の解決に向け、将来の市場環境や技術の変化も意識した取り組みが重要です。

そのためには、研究開発の強化に加え、マーケティング機能の強化、AI/IoT導入の推進など、2022年以降の次期中期経営計画期間に向けた取り組みも進めてまいります。

3.計数計画

(1) 全社計数目標

(単位:億円)2019-2021年  3年累計2016-2018年  3年累計
売上高 34,000 24,365
営業利益 4,800 2,898
営業利益率 14.1% 11.9%
親会社株主に帰属する当期純利益 3,300 1,647
ROA 12.6% 9.5%
ROE 19.5% 14.6%
  • 注1:ROAは営業利益ベース。期間中の単純平均。
  • 注2::ROEは期間中の単純平均。

【織込諸元】

2019年
為替:105円/米ドル、126円/ユーロ
国産ナフサ価格:51,600円/Kl
アルミ地金:2,150ドル/トン

2020-2021年
為替:100円/米ドル、125円/ユーロ
国産ナフサ価格:49,200円/Kl
アルミ地金:2,150ドル/トン

(2) 事業ポートフォリオ別計数イメージ

(単位:億円)2019-2021年
3年累計
2016-2018年
3年累計
増減率

高める

22,600

15,023

+50%
4,350 2,629 +65%
伸ばす 2,900 1,942 +49%
370 192 +93%
変わる 5,600 4,945 +13%
340 284 +20%
  • 注1:表中、上段は売上高、下段は営業利益を表す。
  • 注2:その他、全社調整を除く。

(3) セグメント別計数イメージ

(単位:億円)2019-2021年
3年累計
2016-2018年
3年累計
石油化学 8,900 6,949
600 740
化学品  5,280 4,423
500 483
エレクトロニクス  3,790 3,575
530 519
無機 9,500 3,793
3,250  1,192
アルミニウム 3,630 3,170 
180   171
  • 注1:表中、上段は売上高、下段は営業利益を表す。
  • 注2:その他、全社調整を除く。
  • 注3:2019-2021年レクトロニクスセグメントにパワー半導体SiCを含む。

4.財務戦略

(1) 基本戦略

当社グループの持続的な成長を実現するには、適時的確な投資が欠かせません。資本コストに基づく設備投資の基準を明確にし、投資を厳選します。またフリー・キャッシュ・フローは、生産性向上、CCC(Cash Conversion Cycle)に基づく効率化経営を進めてまいります。さらにはM&Aなどの非連続投資を実施しつつ、安定配当に加え、株主還元強化も視野に入れた財務政策を推進していきます。

(2) 財務目標

D/Eレシオ、総還元性向、総投資額の3つについて、具体的な目標を定め、その達成に努めます。また当社の信用格付についても、現在のA-ポジティブからA以上への向上を目指します。

D/Eレシオ
0.5倍程度(2021年12月末)
総還元性向
30%程度 (2021年)
総投資額
4,000億円(3年累計)
  • 注1:総投資額は、設備投資額(改善投資1,200億円、成長投資1,300億円)、M&A枠(1,500億円)の合計

5.研究開発戦略

(1) 基本戦略

7つの事業領域に対応した10の技術領域に研究開発資源を集中し、事業のパイプライン創出を加速します。また上記実現に向けて、全社共通の研究開発スタッフを約10%増員、進展中の開発テーマに対する投資等により、Project 2020+期間中の3年間実績と比較して約30%増の研究開発費を投じます。

(2) グローバル研究開発拠点「融合の舞台」の新設

当社は今般、千葉市にある研究開発機能を移転し、横浜地区(横浜市神奈川区)に当社グループのグローバル研究開発施設を新設することといたしました。 同施設は、当社グループの技術・知見を集結した研究開発ハブを形成し、①将来社会的に重要となりえる製品・技術の探索、実用化に向けた研究、②電子材料関連技術の高度化によるSociety5.0実現への貢献、③AI を融合した開発手法を創出、の3つを主な役割とします。

また同施設には、カンファレンス/研修/ワークショップ実施が可能なスペースを設置し、多様な人材が集う「融合の舞台」として、オープンイノベーションを含む国内外の多様な人材が相互に交流し、新たな価値を創出する場としても活用します。

同施設の供用開始は2022年春を予定しています。

6.その他

(1) 設備投資

電子材料用高純度ガスやパワー半導体SiCをはじめとする増産投資、老朽化設備の更新、BCP対策の強化などにより、成長投資・改善投資合計で3年累計2,500億円の設備投資を実施する予定です。

(2) AI/IoT戦略

当社は、2018年3月にAI推進プロジェクトを立ち上げ、主に研究開発や運転管理における予測精度の向上を図る目的からAI/IoT活用に取り組んできました。事業所・事業部、事業開発センターが連携し、マテリアルズ・インフォマティクスを活用した材料開発を当社グループで進める他、計算科学やAIを活用した機能性材料の開発手法、過去に蓄積された技術文書活用システムの開発、プラントの運転状態を自動的に分類・解析し、故障の前兆である状態変化や異常発生をリアルタイムに検知する予兆診断にAIを活用する事例など、外部機関との共同開発も進めてきました。

The TOP 2021期間中には、製造プロセスやプラントへの導入などの設備投資を実施する計画です。

(3) 持続可能な開発目標(SDGs)への対応

当社では、グループ経営理念を実現していくため、さらには国際社会と当社グループの持続的発展のために、社員一人ひとりが何をしていくべきかを「私たちの行動規範」に定め、行動しています。また、SDGsの17の目標にも沿った事業活動を進め、当社グループの製品・技術・サービスを提供してきました。アンモニアの原料となる水素の安定供給のため、使用済プラスチックを再利用するケミカルリサイクル技術の確立、また電炉で使用される黒鉛電極はスクラップ鉄の再利用に不可欠な部材です。これらの技術や製品は当社グループの事業基盤強化にもつながっています。

当社グループは、今後とも事業活動を通じ、豊かさと持続性の調和する社会の創造に貢献する「社会貢献企業」の実現を目指していきます。

7.個別事業戦略(ハイライト)

(1) 黒鉛電極(カーボン)

製鋼用電炉で鉄スクラップの溶融に使用される黒鉛電極は、中国での環境規制の高まり等を背景に、今後も需給環境はひっ迫した状況が続くと見ています。当社は、世界最大の生産能力を有する黒鉛電極メーカーです。米国拠点で増強した年間3万トンの設備増強効果、2017年に事業統合を行った昭和電工カーボンホールディングス(旧SGL GE社)との事業統合効果を最大限に発揮し、お客様に安定的に高品質の製品を供給していくとともに、市況変化に左右されない事業体質となるよう、販売体制の見直しや販売価格、原料調達価格の長期安定化など、収益構造の基盤変革を目指します。

(2) ハードディスク

AI、IoTの進展、ビッグデータの活用により、世界で生成・保存されるデータ量は急激な伸びを見せていますが、SSDと比較して価格優位性の高い記憶媒体としてのHDDの需要は、今中期経営計画期間中は続くと見ています。価格優位性の鍵となるのは高い記憶容量とそれを支える技術力にあります。当社は、最先端の高容量ハードディスクを開発してきました。今後も、HDDメーカー等との共同により、高容量次世代技術の開発を加速させるとともに、当社グループが有する研磨技術、成膜技術などの進化により、お客様が求める「Best In Class」の製品を今後も供給していきます。

(3) 石油化学

米国シェールガス・オイル由来の石油化学製品流入、アジア地域における石油化学プラント新増設の一方で、アジア地域での経済、所得水準の向上に伴い、同地域における石油化学製品の需要も堅調に推移するものと見ています。また日本国内の石油化学産業はプラントの経年化により、設備のリニューアル等が必要となっていますが、当社は安全安定運転を第一に、2018年には4年連続でのエチレン設備フル稼働を実現しました。今後も石油化学製品の安定供給に寄与するとともに、新規誘導品の事業化、コンビナート内外との事業連携強化などを進め、東アジア地域における最高水準の競争力を有する事業を目指します。

(4) 電子材料用高純度ガス(情報電子化学品)

半導体メモリ、液晶ディスプレイ市場の堅調な成長、3D-NAND の多層化に伴うガスの使用量増加により、電子材料向け高純度ガスは今後も需給ひっ迫の状況が見込まれています。当社は、アンモニア、塩素、フッ素系ガスなど20数種類の高純度ガスを取り扱う世界有数の特殊ガスメーカーです。Project 2020+期間中、エッチング用ガス製造設備の新設・増強、北米・中国における販売拠点の新増設、物流・調達・マーケティングの機能強化等を進めてきました。2019年以降も、高付加価値の新規ガスの開発・市場投入、設備投資、他社との事業提携などの施策を積極的に実施し、半導体市場を上回る年率10%以上の成長を目指します。

(5) パワー半導体SiC

パワー半導体SiC は、省エネルギーのキーデバイスとして注目が高まっています。今後、自動車の電動化、自動化が進むにつれ、省エネルギー化に大きく貢献するパワー半導体SiCの中長期的な需要はさらに拡大が見込まれます。

当社は世界最高レベルの品質を有するSiC パワー半導体エピタキシャルウェハーを供給しており、高品質グレード「ハイグレードエピ」の生産能力増強を進めています。今後もフルSiC モジュールの実用化に向けた技術開発の加速、生産技術の確立により、SiC パワー半導体の本格普及に貢献します。

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