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「就職活動を行う上でこだわったことは、会社に入ってからポルトガル語を使える可能性があるかどうか。これだけでした」
ポルトガル語学科出身の神門沙織は大胆にもこう語る。高校時代、英語科に在籍していた彼女は受験が間近になったころ、大学では稀少価値のある言語を学びたいと思うようになる。公用語にしている主な国はポルトガルとブラジルというポルトガル語が、その候補になるのにさほど時間はかからなかった。そして学生時代、ポルトガルに足を運び、国や人にも一層愛着を覚えたと聞けば、将来はポルトガル語を生かせる仕事をしたいと固く決意するのも至極当然に思えてくる。
会社探しを始めた結果、昭和電工はその有力候補の1社になった。クルマに使われるアルミ部品を製造するショウティック事業部が、ショウティック・ヨーロッパという生産拠点をポルトガルに置いていることがわかったからだ。
「当社を含め、全部で4社ほど受けたのですが、結局、相性が良かったのでしょうね。面接もスムーズに進み、昭和電工に就職することになりました」 |
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入社後はHD事業部に配属され、経理の仕事を任される。同事業部の各種会計処理や決算書類づくりなどが主な仕事だ。
「正直言って数字は苦手(笑)。最近ですね、経理の面白さがわかり始めたのは。『この数字はこういう意味があるんだ』と理解できるようになったんです」
確かに初めのうちは大変だったようだ。たとえば、会計書類に記載される数字は書類によってケタが異なる。300と記載されている場合、3億円を意味することもあるし、ストレートに300円のこともある。同じ数字でも概数がわかればよいものもあれば、1円単位でキチンと表示されていなければならないものもあるからだ。経理の知識がゼロに等しい神門にしてみれば、「なぜ」と思うこともしばしばだった。
思い出すたび、冷や汗の流れる失敗をしたこともある。それはネットバンキングで資金を動かす指示を出したときのことだった。銀行とのやり取りでは日付指定と日付指定なしの2種類がある。神門はある日、本来、月末を指定すべきところ、指定なしでクリックしたため、次の瞬間にはもう数千万円という資金が動いてしまったのだ。
「慌てて銀行に問い合わせたら『指示のとおり、すでに動いています。取り消せません』とのこと。上司とも相談したところ、いったん引き出した上で銀行に送金するしかないということになりました。仮にそのまま気づかなかったら、金利が数万円以上ついたでしょう。でも、すぐに対応したので、振込手数料1,500円ですみました」
こんな貴重な(?)経験を積みながら、経理の面白さに目覚めつつある神門。先日は「商業簿記3級」の試験も受けてきた。
「経理は数字を通して事業内容が理解できる仕事です。HD事業部がいまどんな状態にあるか、もの言わぬ数字が雄弁に語ってくれます。ゆくゆくは会社全体を見渡せるくらい経理をきわめたいですね。ポルトガルにはいますぐにでも行きたいですが、まずは経理に精通することが先決です」 |