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福島正人が所属するのは、ハードディスク事業の国内拠点となる千葉県市原の技術開発部門。現在、昭和電工が生産するハードディスクの5割をガラス基板が占め、2008年には6割に達する見込みだが、福島はこの開発に携わった立役者である。彼が入社した1992年当時、ハードディスクはアルミ基盤のみを生産していたことから、約3年間はアルミ基盤に従事。その後社内で小型化を実現させ、付加価値の付けやすいガラス基盤開発の機運が高まり、積極的に発言した福島がプロジェクトの中心となっていく。
「市原の工場と装置メーカー、総合研究所を回る試行錯誤の毎日でした。初期は基盤に付ける磁性膜が育たず非常に苦労しましたが、クライアントがついて事業にまで昇華できれば、会社のノウハウになり得る技術であることは間違いない。多くの方々に協力していただきながら粘り強く開発を続けた結果、大手のお客さまと製品化の契約をすることができたんです」
1998年、昭和電工初のガラスメディアが市原工場の生産ラインに流れる。研究をスタートさせてから実に4年目のことだった。
「開発から製品化までの全てを見届けた初めての仕事だったので、本当に感動しました。ラインに流れたのはお客さまが認めてくださったからであり、ビジネスモデルの正しさが立証されたわけですから」
社内外の信頼を勝ち得た福島は、窓口・開発から運用・保守までの全てを統括する「プログラムマネジメント制」を採り入れた昭和電工初の社員となる。
「お客さまへの製品提案から、生産ラインの立ち上げ、お客さまからのレスポンスを工場へフィードバック、全体の生産管理まで、ガラス基盤に関わる全ての業務を担当しました。最初の7〜8年は全体の流れを把握しているのが私だけだったので、そういう体制を取らざるを得ない状況でしたが、私自身は大きなやりがいを感じていました」
ガラス基盤の価値が次第に認知され、シンガポールと台湾の工場で生産が始まり、規模が拡大。省電力・省スペース・少音など、時代のニーズに合うメリットを持つ製品だけに、現在もクライアントからの引き合いが多い。メーカー各社のノートパソコン、iPodやMP3プレーヤー、TVレコーダー、携帯電話などに搭載されていることで、さらなる需要拡大が予想される。 |
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福島の所属する市原のハードディスク事業部は、巨大なワンフロアに、研究開発・製造・品質保証・設備・営業など全ての部門が集結。コミュニケーションが取りやすいようにパーテーションなどの仕切りが一切なく、会議も見えるところで実施されている。まさに昭和電工の社風である“風通しの良さ”が感じられる。
「事業部全体が同じフロアで仕事をし、業務やミーティングのほとんどは筒抜け状態です。だから、例えば開発担当者同士で話をしていると、設備や工務担当者が寄ってきて話し合いになる。話し合いが議論になって白熱してくると、さらにさまざまな部門の人が集まってくる。目標管理や個人の達成度なども他部門の方に聞かれてしまうという意味ではシビアな面もありますが、良い意味での一体感や緊張感がこの事業部にはあります」
福島はそんな歯に衣着せぬ議論とそれを受け入れる社員こそ、昭和電工の魅力であるという。
「とかく萎縮しがちな新人社員も、先輩社員を見ていれば、『ここまでは言っていい』『そこまで言わなければ良いものができない』と自然に理解していくので成長が早い。社歴を問わず、若い人の意見が製品作りに反映できる環境を整えていきたいです」
現在、マネジメントから研究職に戻った福島は、新たなハードディスクの開発に挑んでいる。記憶密度が高く小型大容量化を実現するディスクリートトラックメディアの製品化だ。
「ハードディスク自体、従来の生産技術では容量が上げられなくなり、新たな技術を開発しなければいけない段階に来ています。そこで半導体に近い技術を使って開発しているのですが、ガラス基盤を開発した頃の気持ちを思い出して、日々研究を重ねています」 |