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ニュースリリース

世界初 穀類などの栽培に適した多光量型LED照明ユニットを開発

2010年11月4日

ウシオライティング株式会社
昭和電工株式会社
国立大学法人千葉大学

世界初※1 穀類などの栽培に適した多光量型LED照明ユニットを開発
千葉大学研究施設にて運用開始

 ウシオライティング株式会社(東京都中央区/代表取締役社長 山中茂樹、以下 ウシオライティング)と、昭和電工株式会社(東京都港区/代表取締役社長 高橋恭平、以下 昭和電工)は、国立大学法人 千葉大学(以下 千葉大学)と共同で、世界で初めて稲作などに適した多光量型LED照明ユニットを開発、このたび千葉大学にて運用が開始されましたことを、お知らせします。

 この多光量型LED照明ユニットは、昭和電工の独自技術による、植物の光合成を促進させる波長660 nm(ナノメートル)を高出力で発する赤色LED素子ならびに、形態形成作用に効果のある青色LED素子に、ウシオライティングがLED照明の開発・製品化プロセスで培ってきた、独自の「LED放熱技術」、「LED素子の実装技術」、「光学設計技術」を的確に組み合わせたもので、高出力かつ優れた放熱性を特長としています。
 このLED照明ユニットを、千葉大学大学院 園芸学研究科 後藤 英司 教授の研究施設に導入、同 教授による指導のもと、穀類などの栽培用として最適化させました。
 千葉大学では、このLED照明ユニットを使用して、葉物野菜だけでなく、多光量を必要とするトマトなどの果菜類、稲などの穀類を人工光で栽培する実験に着手しています。

【多光量型LED照明ユニットの特長】

■LED素子の高電流化、少量化

 独自のLED実装・放熱技術と光学設計技術により、今まで実現できていなかったLED素子の高電流化に成功、LED素子の少量化も可能にしました。
 この結果、約1m四方の照明ユニットに対して、約2,500個という少量のLED素子ながら、20cmの照射距離で約1,000μmol・m-2・s-1 (マイクロモル・平方メートル・秒)という高い光量子束密度を達成しています。

■世界初の技術

 世界で初めて、約1m四方という大面積で、高い光量子束密度(約1,000μmol・m-2・s-1)を達成するとともに、実験室レベルのみならず、量産や実際の栽培レベルでも使用を可能にしたLED照明ユニットです。

■独自のLED実装・放熱技術

 新たに採用した熱伝導性の高い特殊基板に、超高輝度LED素子を直接実装したことで、多光量型LED照明ユニットの放熱性能を高め、空冷でありながら素子の温度上昇を大幅に抑制します。
 放熱対策をとらない場合、電流値100mA(ミリアンペア)で発光させると、LED素子は通常、時間とともに室温から200℃近くまで発熱しますが、多光量型LED照明ユニットは、素子の発光時間に関係なく、温度上昇を50℃以下に抑えることができます。

■独自の光学設計技術

 照明の専業メーカとして、ウシオライティングが培ってきた光学設計、配光シミュレーションなどに関する技術、ノウハウがフルに活かされています。
 使用する超高輝度LED素子の性能を十分に引き出すため、それぞれにレンズ、集光レンズ、リフレクタを配することで高出力を実現しています。
 さらに、配光についても照射面以外に漏れる光を低減させ、LED素子からの光を効率よく照射するよう、独自のシミュレーションを行っています。

■高い光量子束密度※2

 高い放熱性を実現した結果、熱によるLED素子の劣化、発光効率や寿命の低下といったマイナス要因を排除、約1m四方の照明ユニットで、照射距離20cmにおいて、稲作に必要とされる光量子束密度 1,000μmol・m-2・s-1の光量を照射させることに成功しました。

 多光量型LED照明ユニットは、人工光による栽培が技術的に困難とされてきた果菜類、マメ類、穀類、イモ類などの栽培について可能性を拡げるだけでなく、植物育成に対するさまざまな市場ニーズに応える拡張性も備える画期的な構造になっています。  また、食に対する安全意識の高まりや食物自給率向上のニーズにより普及が見込まれる植物工場において、植物育成に必要な最適な光を自由にコントロールできるLED照明は、今後のキーとなるアイテムといっても過言ではありません。

 ウシオライティングは、この放熱技術を応用し、植物育成用に限らず、さまざまな分野に展開、発展させていくことで、関連分野の売り上げも含め、2011年度で3億円規模のビジネスに成長させることを見込んでいます。

  • ※12010年10月現在 当社調べ
  • ※2「光量子束密度」
    1秒あたり、1平方メートルあたりの400~700 nm領域における光子の数。植物工場で栽培されることの多い葉物野菜は、一般的に150~200μmol・m-2・s-1前後の光量子が必要であると言われている

【千葉大学大学院 園芸学研究科 後藤 英司 教授のコメント】

 まず、このユニットに使われているLED素子数の少なさに驚きます。この素子数で約1,000μmol・m-2・s-1を作り出すために、さまざまな技術が組み込まれています。また、空冷のため、多光量型なのにユニットがコンパクトで、好きな場所に取りつけて実験に使用できるうえ、多段式栽培にも適しています。30~40年前から、人工気象室や植物育成装置で太陽光に匹敵する強光を必要とするときは、電球形の高圧ナトリウムランプやメタルハライドランプを使用しています。しかし、赤外線が多いため植物体温が上昇する、点光源のため照射面の光強度の均一性が低い、という問題がありました。今回のユニットは、これらの問題を解消し、果菜類、穀類、マメ類、イモ類の人工光栽培を可能にする画期的な照明ユニットと言えます。今後は、多様な光質を作れるLEDの特長を活かして植物育成に最適な光環境を見出し、そのノウハウを商業植物工場に活用していく予定です。農林水産業では、植物以外にも、キノコ栽培、害虫対策、養殖、漁業、畜産などで人工光源を利用しています。このユニット開発の成功により、LEDの農林水産業利用が加速されることを大いに期待しています。

ウシオライティング株式会社について

ウシオライティング株式会社(本社:東京都)は、1963年設立。
 ウシオグループにおいて「照明」、「映像」分野を主たるドメインとし、商業施設・舞台・スタジオ・各種ホール用のランプ、LEDや映像・照明機器をはじめ、海洋・セキュリティ・ディスプレイ用照明の生産・販売、および産業分野では、精密露光システム、プラスティック成形機・処理システム、食品包装システムなどの販売を行っています。
 照明・映像分野では、光源から照明・映像システムまでを一貫して取り扱う独自のビジネスモデルに加え、きめ細かなメンテナンスサービス、演出・ソフト・コンテンツを中心とするソリューションビジネスを拡大し、トータル・ソリューション・プロバイダーとしての地位を確立しています。
 従業員数は357人、売上高は約91億円(数字は2010年3月期、億円未満切捨て)。
http://www.ushiolighting.co.jp/

昭和電工株式会社について

 昭和電工株式会社(本社:東京都、東証4004)は、1939年設立。
 国産技術によるアンモニアの製造をわが国で最初に実現した昭和肥料株式会社と、日本で初めてアルミニウムの商業生産を開始した日本沃度株式会社 (1934年に日本電気工業株式会社に社名変更)の合併により設立されました。日本にとって貴重な資源である水力を利用した電気化学から出発し、国産技術による化学品の製造を次々に行いました。現在は電気化学から派生した多様な素材や技術の融合により、石油化学、化学品、無機、アルミニウムからエレクトロニクスまでの幅広い分野において多くの個性的な製品を創出しています。パソコンなどの情報記録に使用されるHDドライブの中核部品であるハードディスクにおいては、外販メーカとして世界最大のシェアを有します。また、液晶テレビのバックライト光源、次世代照明、植物工場などに使用される超高輝度LED素子、電気自動車ですでに採用されている負極材などのリチウムイオン電池材料など環境関連分野にも注力しています。
 従業員数は連結で11,564名、連結売上高は6,782億円(数字は2009年12月期)。
http://www.sdk.co.jp/

■千葉大学について

 千葉大学は、太陽光型で約50年、人工光型で20年以上の研究実績を持ち、全国でも最先端の研究を進めてきました。また、2009年度からは、経済産業省の支援を受けて「植物工場研究センター事業」に取り組んだり、「松戸」、「柏の葉」の両キャンパスに研究用の植物工場を増設するなどハード整備を実施し、植物工場分野で日本を代表する先進研究拠点を目指すとともに、国内農業の産業化促進に貢献しています。

■ウシオ電機株式会社について

 ウシオ電機株式会社(本社:東京都、東証6925)は、1964年設立。
 露光装置用、シネマプロジェクタ用、データプロジェクタ用などの各種放電ランプのほか、各種照明用、OA用ハロゲンランプなどを取り扱っています。
 また、自社製ランプを組み込んだ各種光学装置なども製造販売し、数多くの製品が高いマーケットシェアを獲得しています。
 従業員数は連結子会社含み約4,700名、連結売上高は1,190億円(数字は2010年3月期、億円未満切捨て)。
http://www.ushio.co.jp/jp/

【製品写真】


稲の栽培実験状況(右は非点灯状態のもの)


左から赤+青色、赤色、青色LEDを点灯させたもの

■リリースに関するお問い合わせ

(LED照明ユニットに関して)

ウシオライティング株式会社 広報部 甲斐
〒104-0032 東京都中央区八丁堀2-9-1
Phone:03-3552-8261 / Fax:03-3552-8263
E-mail:m-kai@ushiolighting.co.jp
http://www.ushiolighting.co.jp/

(LED素子について)

昭和電工株式会社 IR・広報室
〒105-8518 東京都港区芝大門1-13-9
Phone:03-5470-3235 / Fax:03-3431-6215