気候変動への対応

基本的な考え方・方針

TCFD
当社グループは、各種製品の製造工程で大気・水・エネルギーを使用しており、気候変動については事業継続の観点から重要な経営課題と捉えています。

2019年5月、「気候関連財務情報開示タスクフォース」(以下、TCFD)に賛同し、気候変動が当社グループに及ぼすリスクと機会を評価し、シナリオ分析を通じてレジリエンスを強化するとともに、ステークホルダーとの健全な対話を推進していきます。
また、2020年1月より、社内炭素価格制度(以下、ICP)を導入しました。温室効果ガス(以下、GHG)排出量削減を投資判断に組み入れ、気候変動への取り組みを監督しています。


マテリアリティKPI

『2030年におけるグループ国内事業場でのGHG排出量の削減目標を2013年比11%減』

KPI達成のため、生産プロセスの見直しや省エネ活動の推進、設備改造などにより、GHG排出量削減・維持に取り組んでいます。加えて製品の原料調達、使用、廃棄、再利用といったライフサイクルやサプライチェーン全般でのCO₂排出量削減に努めています。
また、当社が保有する水力発電所の発電量は、当社電気使用量の約29%に相当し、GHG排出量の削減に貢献しています。

ガバナンス・リスク管理

当社グループは気候変動に関するリスクと機会について、経営会議の直下の会議体であるサステナビリティ推進会議で立案し、経営会議で決定しています。 また、取締役会において定期的に報告され、取締役会はこれを監督し、必要に応じて指示しています。


気候変動のリスク・機会と対応

気候変動が当社グループ事業に及ぼす影響(リスク・機会)について、2040年を想定した ①2℃シナリオの途上に起こる「低炭素経済への移行に関連したリスク」と、②世界のCO2排出量削減の未達により4℃シナリオに至った場合に発生する「気候変動に伴う物 理的影響に関連したリスク」について、TCFDの枠組みをもとに整理しました。 検討の際に参照したシナリオは、国際エネルギー機関(IEA)が公表するシナリオ「持続可能な開発シナリオ『公表政策シナリオ(STEPs)』等です。

見出しセル主なリスクと機会リスク・機会への主な対応
移行リスク・機会
(2℃シナリオ)
【リスク】
  • カーボンプライスの導入による税負担・製造コストの増加
  • 低炭素製品/サービスの技術開発遅れによる、販売の機会損失
  • 投資家、消費者からの気候変動取り組みに対する評価の変化
【機会】
  • 低炭素製品/サービスの提供拡大による売り上げの増加
  • 低炭素社会のニーズに対する製品の拡販および新製品の開発、競争力の強化
  • 製造拠点の省エネ化・設備更新
  • 投資家や市場の関心に応える積極的な情報開示とコミュニケーション
  • 定期的なリスクの抽出・低減活動、BCP(事業継続計画)の強化
物理リスク・機会
(4℃シナリオ)
【リスク】
  • 水不足による水力発電設備の発電量減少
  • 洪水の激甚化による製造拠点の操業停止、設備の修復費用の増加による収益減少

「移動・輸送」領域のリスク・機会と対応

当社グループが現在注力している中期経営計画「The TOP 2021」において、気候変動の影響が大きい事業領域として、移動・輸送、エネルギー、建設・インフラを想定しています。
今年度は、特に「移動・輸送」のシナリオ分析を実施しました。今後、グループ会社となった昭和電工マテリアルズ(旧 日立化成)の事業を含め、気候変動の影響をさらに検討していきます。

「移動・輸送」領域において、2℃シナリオではICP導入による操業コストの増加が予想されますが、さらなる省エネ化や電気自動車(EV)の普及に伴う関連部材の需要増加による事業機会の拡大もあり、当社は十分なレジリエンスを有していると分析しました。

 「移動・輸送」領域の事業環境

2℃シナリオ

  • EVバッテリーの大容量化や車体の軽量化(アルミを起点とした自動車複合材開発)への需要拡大
  • 政府によるEV普及支援策の拡大、低炭素製品を好む顧客の増加によるEV需要の拡大
  • 環境規制の強化によるプラスチック・アルミ部品のリサイクル性の要求拡大
  • 環境対応に対する投資家からの要求拡大
  • 環境政策・規制が強化され、カーボンプライシングの導入が拡大
4℃シナリオ
  • 車体の軽量化(アルミを起点とした自動車複合材開発)に対する需要は緩やかに増加
  • 燃費規制・EV普及支援策は現状レベルを維持し、ガソリン車両が引き続き主流
  • 洪水の激甚化による生産拠点への被害、サプライチェーン毀損による影響が顕在化

「移動・輸送」領域の機会取り込みへ向けた研究開発

世界的に自動車販売台数が増加する中、EV用の複合材やバッテリー需要も増加していくと見込まれます。
当社は2019~2021年の中期経営計画「The TOP 2021」における研究開発方針として、7つの事業領域に対応した10の技術領域に研究開発資源を集中し、事業のパイプライン創出を加速すると定めています。その10の技術領域の中には、xEVやマルチマテリアル・異種材料接合があり、この分野での研究テーマへの落とし込みを進めています。 
なお、 EVのバッテリーに用いられるリチウムイオン電池は、走行距離を伸長するため高密度で設置され、同時に、寿命や出力を保証するため低温度での管理が求められています。当社は車載電池の包材として実績のあるアルミラミネートフィルム「SPALF®」と熱交換器の技術を応用し、車載用電池冷却システムに求められる効率性と安全性を確保しながら、軽量かつコンパクトな電池冷却器を開発しています。

指標と目標

■ GHG排出量の推移(国内グループ)
【KPI実績】2019年度のGHG排出量:2013年度比で6.9%減

  • 排出量はGHGプロトコルに準拠したものです。
当社グループは、気候変動を含むレスポンシブル・ケアの長期目標を達成するため、2~3年ごとの中期行動計画、ならびに年間行動計画を策定し、実行しています。
2020年の行動計画では、低炭素社会実現に向けた各事業場の中長期計画の見直しや海外グループ会社の中期目標を設定し、2030年におけるGHG排出量削減目標の達成に向け、排出量の低減とさらなる省エネを推進していきます。
物流ではエネルギー消費原単位の削減に取り組んでいます。削減計画を見直すとともに、変動要因の解析を実施することで、さらなる改善を図っていきます。


■ 輸送部門におけるCO2排出量とエネルギー消費原単位 (昭和電工単体)
■ Scope3の温室効果ガス排出量
(2019年実績)
Scope3単位:千t
 カテゴリー排出量
1 購入物品・サービス 3,539
2 資本財 251
3 燃料・エネルギー関連 585
4 上流の輸送流通 35
5 廃棄物 18
6 出張 5
7 通勤 2
  下流合計 41,200
■ 輸送トンキロ(昭和電工単体)
輸送トンキロ
■ 輸送手段構成比率(2019年 昭和電工単体)
排水量

物流に伴う環境負荷を低減するため、トラックによる輸送から、鉄道や船舶を利用した輸送を行うモーダルシフトやトラックの大型車両の活用、積載率アップを進めてCO₂排出量の削減に努めています。
2019年度は、モーダルシフトのほかにも、納入ロットアップによる輸送回数削減や保管場所の変更による長距離輸送等の削減を図り、輸送エネルギー使用量の削減に努めました。
その結果、輸送量の減少に伴いCO₂排出量が減少し、また輸送エネルギー消費原単位も前年度より改善する結果となりました。これはトラックに代わりエネルギー原単位の良い船舶による輸送比率(トンキロベース)が増加したことが主な要因です。

ページトップへ