ドライアイス資料館

炭酸ガスの物性

炭酸ガスと呼ばれるCO2(二酸化炭素)は、我々の住む生物界からは切り離すことのできない物質です。大気中はもとより、海水中、鉱物中などにも様々な形態で広く、そして大量に存在しています。また我々の身の回りでは、身近な食品、工業分野から医療、地球環境保護に至る様々な分野で炭酸ガスとして、あるいはドライアイスとして利用されており、これらの産業活動に欠かせない重要なものとして広範囲にわたって貢献しています。

【物性】

外観 気体:無色・無臭、水分と作用して弱い酸味と刺激臭を呈する。
液体:無色・透明
固体:半透明・乳白色
分子量 44.01
密度 気体:1.977kg/m3(0℃、0.101325MPa[1 atm])
液体:1.030kg/L (-20℃、1.967MPa[20.06kg/cm2 abs])
固体:1.566kg/L (-80℃)
三重点 -56.6℃、0.518MPa[5.28kg/cm2 abs]
臨界温度 31.1℃
臨界圧力 7.382MPa[75.28kg/cm2 abs]
蒸気圧 1.967MPa[20.06kg/cm2 abs](-20℃)
3.485MPa[35.54kg/cm2 abs](0℃)
5.733MPa[58.46kg/cm2 abs](20℃)
溶解度 1.713 L CO2 / L H2O(0℃、0.101325MPa[1 atm])
1.194 L CO2 / L H2O(10℃、0.101325MPa[1 atm])
0.878 L CO2 / L H2O(20℃、0.101325MPa[1 atm])
pH値 3.7(25℃、0.101325MPa[1 atm] 飽和水)

炭酸ガス(二酸化炭素)はCO2の分子式で示される分子量44の無色無臭の気体で比重は空気の1.5倍、大気中には0.03%の割合で存在します。

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空気中の炭酸ガス濃度が人体に及ぼす影響

炭酸ガスは人体の血液中に一定の均衡を保って存在しこの均衡が破れ炭酸ガスが欠乏するとわれわれは倦怠を覚え不快を感じるようになります。反面空気中に炭酸ガスが多量に存在すると新陳代謝の作用をさまたげ窒息を起こす恐れがあります。

これらの性質を兼ね備えた炭酸ガスですが、正しい取り扱いを怠ると思わぬ事故につながることもあります。

当社ではこうした事故を未然に防ぐために、顧客に対する保安講習会の開催や機器類の取り扱い説明の徹底を図り、製造・販売から安全な消費までをフォローします。

【有害性情報】
空気中の二酸化炭素濃度により、人体に対し次のような影響を及ぼす。

二酸化炭素濃度(%) 影響(通常の酸素濃度における)
0.04 正常空気
0.5(TLV) 長期安全限界
1.5 作業性および基礎的生理機能に影響を及ぼさずに長時間にわたって耐えることができるが、カルシウム・リン代謝に影響の出る場合がある。
2.0 呼吸が深くなる:一回の呼吸量が30%増加
3.0 作業性低下:生理機能の変化が体重、血圧、心拍数等の変化として現れる。
4.0 呼吸がさらに深くなる:呼吸数が増加して、軽度のあえぎ状態になる:相当不快感
5.0 呼吸が極度に困難になる:重度のあえぎ:多くの人がほとんど耐えられない状態になる:悪心(吐気)の出現する場合がある:30分の暴露で中毒症状
7~9 許容限界:激しいあえぎ:約15分で意識不明
10~11 調整機能不能:約10分で意識不明
15~20 さらに重い症候を示す。1時間で死亡することはないと思われる。
25~30 呼吸低下:血圧低下:昏睡:反射能力喪失:麻痺:数時間後に死に至る

炭酸ガスの状態

炭酸ガスは不活性・不燃焼できわめて安定しており、温度、圧力の相関により液体、固体ドライアイス、気体の三態をとります。液化炭酸ガスは、大気圧では存在せず、圧力が少なくとも0.518MPa(5.28kg/cm2)以上でなければなりません。この圧力以下になると液化炭酸ガスはドライアイス(固体)と炭酸ガス(気体)になってしまいます。圧力0.518MPa(5.28kg/cm2)液化炭酸ガスの温度は、マイナス56.6℃であり、この圧力と温度の状態は"三重点"と呼ばれています。この状態の炭酸ガスは、液体、気体、固体が同時に存在しますが、温度が31.1℃以上では、いくら圧縮加圧しても液体は存在しません。この温度を臨界温度といい、このときの圧力7.382MPa(75.28kg/cm2)を臨界圧力といいます。

炭酸ガスの状態図