新技術のポイント銀ナノワイヤ透明導電フィルム
フォルダブルスマートフォンをはじめとする、意匠性の高いタッチパネル付きデイスプレイでは、各構成部材における加飾性に対する要求が高まっています。
透明導電フィルムは、ディスプレイに搭載される静電容量タッチセンサーの主要部材の一つです。フレキシブル性に加え、低抵抗、高い透明性を有する新たなフィルムの開発が進められており、次世代フィルムの有力な候補の一つが銀ナノワイヤ透明導電フィルム(以下、AgNWフィルム)です。
AgNWフィルムとは
現在、透明導電膜としては、酸化インジウムスズ(ITO)フィルムが広く採用されていますが、一般的にフレキシブル性や屈曲性に乏しいといわれています。
AgNWフィルムは、現在、ITOフィルムに比較して、フレキシブル性と屈曲性に優れ、かつ、低抵抗であることが特徴です。
当社は、AgNWフィルムの長所である「低抵抗」を活かしながら、独自のバインダー樹脂、オーバーコート材を採用することにより「屈曲性」をさらに向上させ、欠点である「耐久性」を克服しています。
屈曲性に関しては、フォルダブルスマートフォンに要求されているといわれる、繰り返しの山折り・谷折り20万回(R=1mmにて)を達成しています。
基本特性
- 低抵抗(10~80Ω/□。抵抗値はご要求のAgNWの濃度および、透明性に依存します)
- 高い屈曲性
- 優れた環境安定性
- 基材として、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)に対応が可能です。
構成

当社標準グレードの特性値
基材 | 種類 | COP | PC | |
---|---|---|---|---|
厚み[μm] | 13 | 50 | 100 | |
電気特性 | シート抵抗 [Ω/□] | 40 | 50 | 50 |
光学特性 | 全光透過率[%] | 90 | 90 | 88 |
ヘイズ[%] | 0.8 | 0.8 | 1.0 | |
b* | 1.2 | 1.0 | 1.2 |
上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。
屈曲性
屈曲性は主に基材フィルムの物性に依存しますが、当社独自のオーバーコート層を採用することにより、当社AgNWフィルムは、基材フィルム単体を超える優れた屈曲性を有しています。


屈曲性 | |||
---|---|---|---|
曲率半径 | 折り方 | 屈曲回数(回) | |
当社AgNWフィルム (Base film:COP/13µm) |
R=1mm | 山折り | 100万回*1 |
R=1mm | 谷折り | 100万回*1 | |
COP単体(13µm) | R=1mm | ー | 23万回*2 |
*1:変化なし, *2:割れが発生
上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。
電気絶縁信頼性(高温高湿バイアス試験)
一般的に、銀はマイグレーションしやすい物質ですが、当社AgNWフィルムは、独自のバインダー樹脂の採用により、高い絶縁信頼性を保有します。

ショートした回数 | |
---|---|
当社AgNWフィルム | O.K. (0/4) |
他社AgNWフィルム | N.G. (4/4) |
上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。
