新技術のポイントアルミ/樹脂直接接合
近年、材料開発の分野では、樹脂や金属など特性の異なる材料を併用して軽量化や高強度化を実現する“マルチマテリアル化”がキーワードになっています。なかでも異種材料同士を直接接合する技術は、製造工程の短縮や製品の小型化を実現する技術として注目されています。
当社はアルミニウムおよび樹脂の材料設計のノウハウを生かし、従来金属との接合で高い強度を得られなかったポリカーボネート(PC)をはじめ、幅広い種類の樹脂とアルミニウムの直接接合技術を開発しました。
アルミ/樹脂直接接合技術とは
アルミ部品に弊社が開発した特殊表面処理を施し、インサート成形することによりアルミと樹脂を直接接合します。


基本特性
- 接着材接合等に比べ工程短縮が可能です。
- 特殊表面処理はアルミと強固に接着したプライマーコートまで施すため、安定した状態で部品保管できます。
- PC樹脂、PEI樹脂など非晶性エンプラ/スーパーエンプラも接合可能です。
SDK接合法の特徴


※SDK接合法にはアンカー接合を用いない方法もあります。
表面処理の概要
-
エッチング処理
- 自然酸化皮膜除去
- ディンプル状の凹凸表面
(アンカー効果)
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酸化処理
- 水酸基の生成(官能基付与の起点)
- ひげ状の形状(アンカー効果)
-
官能基付与
- 樹脂との化学結合が可能
(共有結合)
- 樹脂との化学結合が可能
-
被接合樹脂に合わせたプライマー塗工
- リニア分子鎖 または 架橋構造
- 共有結合が出来ない熱可塑性樹脂とも強固に接着が可能
(分子拡散接合) - アルミ表面の保護
-
樹脂成形
接合強度①- アルミ・熱可塑性樹脂接合
引張せん断試験
試験方法 | ISO19095 |
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試験片 |
ラップジョイント
|
試験条件 |
ロードセル荷重 10kN 引張速度 10mm/min 試験温度 23℃, 50%RH |


樹脂 | 非晶性エンプラ | 非晶性 スーパーエンプラ | 結晶性エンプラ | 結晶性汎用樹脂 | ||
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PC(非強化)※ | mPPE(非強化) | PEI(非強化) | PBT(GF30%) | PP(GF40%) | PP(CF40%) | |
せん断引張強度 | 25MPa | 20MPa | 25MPa | 28MPa | 13MPa | 18MPa |
成形方法 | インサート成形 |
上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。
※引張せん断試験(各種ポリカーボネートとアルミニウム合金の直接接合)
PC変性コポリマー樹脂(耐衝撃性、耐候性向上グレード)、ガラス繊維強化グレードなど、様々な機能性PCに接合可能です。
スマートフォン、自動車内外装、電子機器、照明などの用途を想定しています。
樹脂 | 各種ポリカーボネート/アルミニウム合金(A6063)の直接接合 | |||||
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PC(非強化) | LEXANTMEXL1414樹脂 | LEXANTMSLX2271T樹脂 |
ThermocompTM DX10313樹脂 |
|||
せん断引張強度 | 25MPa | 23MPa | 26MPa | 22MPa | ||
成形方法 | インサート成形 |
上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。
試験方法 | ISO19095 |
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樹脂温度 | 285 ℃ |
金型温度 | 90 ℃ |
射出速度 | 50 mm/sec |
SDK接合法では非アンカー接合効果により、一般的なPCの成形/金型温度での接合が可能です。
(アンカー効果接合では、より高い成形/金型温度が必要)
接合強度②- アルミ・熱硬化性樹脂接合
引張せん断試験
試験方法 | ISO19095 |
---|---|
試験片 |
ラップジョイント
|
試験条件 |
ロードセル荷重 10kN 引張速度 10mm/min 試験温度 23℃, 50%RH |
樹脂 | CF強化SMC樹脂 (CF 50wt%) | BMC |
---|---|---|
せん断引張強度 | 23MPa | 15MPa |
成形方法 | プレス成形 ゲージ圧 5MPa |
トランスファ-成形 30MPa |
上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。
接合強度耐久性(アルミ/PC樹脂接合)
高温老化試験
試験方法 | ISO19095 |
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試験片 |
ラップジョイント |
老化条件 |
80℃ ~500hrs |
試験条件 |
ロードセル荷重 10kN 引張速度 10mm/min 試験温度 23℃, 50%RH |

接合強度と充填圧力との関係
充填圧力に依存せずに接合強度の確保を実現しました。


樹脂注入位置による接合強度の変化
樹脂注入ゲート位置に依存せず安定した接合強度を保持します。

プライマーの密着耐久性
碁盤目試験
試験方法 | JIS K 5600 |
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判定基準 |
|

温水浸漬時間 (60℃温水) | 碁盤目試験結果(評点) |
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初期 | 0(剥離なし) |
24hrs浸漬後 | 0(剥離なし) |
84日間浸漬後 | 0(剥離なし) |
上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。
湿熱老化試験 (85℃, 85%RH) | 碁盤目試験結果(評点) |
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初期 | 0(剥離なし) |
5日間浸漬後 | 0(剥離なし) |
30日間浸漬後 | 0(剥離なし) |
50日間浸漬後 | 0(剥離なし) |
上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。