新技術のポイントパワー半導体用固体封止材

SiC素子を用いた次世代パワー半導体は、現在主流のSiに比べ耐熱性・耐電圧・大電流特性に優れた半導体材料として、自動車・電装分野などでの需要拡大が期待されています。パワー半導体素子の性能を最大限に引き出すためには、半導体パッケージを構成する周辺材料の耐熱性向上も必要であることから、当社は、耐熱性に優れた独自樹脂によるパワー半導体用封止材を開発しました。

パワー半導体用固体封止材とは

高温使用時の物性変化が少ない、当社独自の樹脂を用いたトランスファー成形用固体封止材です。

パワー半導体素子の性能を最大限に引き出すためには、モジュール全体での最大ジャンクション温度(Tj)を高める必要がありますが、パワーデバイスの封止材に広く用いられているエポキシ‐フェノール樹脂は、200℃以上で劣化するという問題があります。
当社が今回開発したトランスファー成形用固体封止材は、独自に開発した非エポキシ系の樹脂を用いることで、エポキシ固体封止材と同等の成形性を持ちながら、高い耐熱性を実現しました。ガラス転移温度(Tg)および熱分解温度(Td)が高く、高温使用時の物性変化が少ないのが特徴です。この耐熱性の高さを生かすことで、モジュールの出力を引き上げることに貢献します。

基本特性

封止材のガラス転移温度、熱分解温度
 エポキシ固体封止材
(Tj175℃)
当社パワー半導体用
固体封止材
ガラス転移温度(Tg)*1 200℃ 245℃
熱分解温度(Td) 340℃ 420℃

*1 TMA法による測定

上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。

高温における信頼性向上

1. 絶縁性向上

一般的なエポキシ固体封止材は150℃以上になると体積抵抗が下がり電気絶縁性が低下しますが、当社の固体封止材はガラス転移温度が200℃以上のため、150℃を超えてもエポキシ固体封止材比で3桁高い体積抵抗値を維持します。

体積抵抗値の温度変化
試験方法 / ISO2951、印加電圧500V
上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。

2. 機械強度維持

一般的なエポキシ固体封止材は200℃前後で弾性率がほぼゼロになり、機械強度が著しく低下します。それに対し、当社の固体封止材はガラス転移温度が200℃以上のため、高温でも高い弾性率を示し、機械強度を維持します。

弾性率の温度変化
試験方法 / JISK7171
上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。

3. 優れたヒートサイクル特性

一般的なエポキシ固体封止材は−40℃〜225℃でのヒートサイクル試験を行うと、ヒートスプレッダとの剥離や封止材自体の分解などが生じます。一方、耐熱性の高い昭和電工の固体封止材はヒートスプレッダとの良好な密着状態を保持します。

気相サーマルサイクル試験
 エポキシ固体封止材
(Tj175℃)
エポキシ固体封止材
(Tj200℃)
当社パワー半導体用
固体封止材
0サイクル
500サイクル
1000サイクル
試験方法 JIS 60068-2-14
試験条件 液槽ヒートサイクル
-40℃/225℃ 高温・低温晒し時間各10分

上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。

物性値一覧

 エポキシ固体封止材
(Tj175℃)
当社パワー半導体用
固体封止材
ガラス転移温度(Tg)*1 200℃ 245℃
熱分解温度(Td) 340℃ 420℃
全塩素 ~200ppm <5ppm
体積抵抗率 25℃ 0.2 Ωcm×10∧17 2 Ωcm×10∧17
260℃ 0.1 Ωcm×10∧14 3.5 Ωcm×10∧14
誘電率(Dk)*2 5GHz 3.47 3.38
誘電正接(Df)*2 5GHz 0.0141 0.0072
ゲルタイム *3 33秒 29秒
スパイラルフロー *3 158cm 101cm

評価サンプル成形条件:成形時間 180℃/3分、後硬化時間 230℃/6時間

*1 TMA法による測定、*2 測定温度25℃、*3 測定温度180℃

上記の数値は測定値であり、保証値ではありません。