異種材料接合技術「WelQuick®」を開発

2021年06月28日
昭和電工株式会社

昭和電工株式会社(社長:森川 宏平)は、樹脂と金属など異種材料を簡便かつ強固に接合するフィルムタイプの接合技術「WelQuick®」を開発し、6月からサンプル提供を開始しました。

近年、素材に対する軽量性、耐熱性、強度などのニーズは単一素材では解決できないほど高度化し、樹脂や金属などの異種材料を接合して複合化するマルチマテリアル化が進展しています。異種材料の接合には、液状接着剤やホットメルト接着剤による接着や、ボルトなどによる機械締結があり、接合強度とともに、接着プロセスの簡便化や工程の短時間化が求められておりますが、その両立は困難でした。

今回開発したWelQuick®は、接着成分をフィルム形状にすることで、従来の反応型接着剤の液体塗布の手間を削減し、取扱を簡便にしたうえ、フィルム材料の固体と液体間の相変化※1を利用することで、これまで数十分必要であった接着時間を数秒にすることを可能としました。

WelQuick®は、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロンなどの樹脂とアルミニウム、鉄、銅といった金属との接着に対応し、40通り以上の基材の組み合せで10MPa※2以上の高いせん断接着力※3 を確認しています。また、接合スピードに優れた超音波溶着、金属に適用可能な高周波溶着、汎用性が高い加熱溶着など、お客様のニーズに合わせた溶着方法が利用できます。さらに、フィルム状態で常温での長期保管が可能なうえ、溶着時にVOC(揮発性有機化合物)が発生しないため環境への負荷を抑えられます。

このような特長からWelQuick®は、お客様のコスト低減や製造プロセスの効率化による二酸化炭素の排出量削減に貢献します。

当社グループは、無機・有機・アルミニウムに関する幅広い技術・素材を有しており、それらを融合することで、マルチマテリアル化が進む様々な事業分野に新たなソリューションを提供し、カスタマーエクスペリエンスの最大化を目指してまいります。

WelQuick
溶着について

本技術に関する紹介は、次のURLをご覧ください。
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従来の接着法との工程比較

【従来の接着法との工程比較】

 

  • ※1 相変化:温度や圧力の変化により物質の状態(液体、気体、固体)が変化することで、本技術では固体から液体への融解と、液体から固体への凝固を利用している。
  • ※2 MPa(メガパスカル):単位面積当たりの力の単位。10MPaの接着力を持つ場合、1cm角の接着面を剥離するのに約100kgの力が必要な強さ
  • ※3 せん断接着力:張り合わせた面を反対にずらす方向で引っ張った際に、接着面に平行に作用する接着力

 

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